忙しさの中にあるもの
本校では、2学期が8月27日からスタートしています。
私が若いころ、夏休みというと、教師も生徒も普段より十分に時間を取ることができたように思います。しかし、今は部活動はもちろん、三者面談や夏期講習などもあり、生徒も教師も何かと忙しい夏休みを過ごしています。
特に本校のデザイン美術コースでは、夏休みを利用して長野県で油絵合宿を行っています。生徒たちは自然の中で作品と向き合い、普段の教室では得られない経験を重ねています。本校の2号館1階アトリウムは「文化の発信基地」となっており、現在はそこでデザイン美術コースの生徒たちが制作した油絵を展示しています。
そして、いよいよ9月14日から30日まで、同じアトリウムにおいて「土光敏夫生涯展」を開催します。現在、その開催に向けて準備を進めています。詳しくは、本校ホームページの特設サイトをご覧ください。
準備を進める中で、改めて土光敏夫という人物について調べてみました。土光先生は、IHIや東芝の経営再建、経団連会長、そして第二次臨時行政調査会会長など、さまざまな立場で日本のために仕事をしました。80歳を過ぎてからも行政改革に取り組み、「お国のため、最後のご奉公」と語って、その役を引き受けたことも知られています。
そんな土光先生について調べながら、私はふと思いました。人は、何のためなら、自分の力を精一杯出すことができるのだろうか。
土光先生は、自分自身のためだけに働いた人ではありません。「社会は豊かに、個人は質素に」という言葉にも、その生き方が表れています。 そして、土光先生の仕事に共感し、土光先生のためならと力を尽くした人たちがいたからこそ、大きな仕事を成し遂げることができたのではないでしょうか。
私たちは、日々忙しく過ごしています。しかし、忙しいことと、充実していることは同じではありません。大切なのは、与えられた時間の中で「何をするか」だけではなく、「何のためにするのか」を考えることなのだと思います。 生徒たちにも、勉強や部活動、探究活動などに取り組む中で、「自分は何のためにこれをするのだろう」と、一度立ち止まって考えてほしいと思います。自分のためだけでなく、誰かのため、社会のためという思いを持ったとき、人はもう一歩先へ進む力を得られるのではないでしょうか。今回の「土光敏夫生涯展」が、土光敏夫という一人の人物を知るだけでなく、自分は何を大切にして生きていきたいのかを考える機会になればと思っています。
