「気づく力、行動する心」　－バスの中で出会った思いやり

私は通勤の際、鶴見駅西口から出ている臨港バスを利用しています。

ある朝のこと。同じバスに乗り合わせた本校の生徒が、私に気づくと、すっと席を譲ってくれました。「ありがとう」と伝えながらも、正直なところ少し複雑な気持ちになりました。席を譲られる年齢になったのかと思うと、なんとも言えない心境だったのです。

けれども、それ以上に嬉しかったのは、その生徒が迷うことなく行動に移してくれたことでした。

そのやりとりの中で、ふと気づいたことがあります。今では電車やバスの中の多くの人がスマートフォンを手にしています。中には、優先席に座ったままゲームや音楽に夢中になり、周囲に気づかないままの人も見かけます。悪気があるわけではなく、ただ周りが見えていない——そんなこともあるのでしょう。 優先席は、体の不自由な方やご高齢の方、妊娠されている方など、支援を必要とする誰かのために用意された場所です。そのことを理解し、席を譲るという行為が自然に根づいていく社会であってほしいと願います。