2025.11.07
校長より
創立者の思いを受け継ぎ、これからの教育へ
本校では、2025年度より「これからの時代を生きる子どもたちに必要な力とは何か」を問い直し、新たな教育のかたちを模索しています。その際に大切にしているのが「創立の精神」です。学校を築いた人の思いや生き方こそ、時代が変わっても揺るがない教育の原点だからです。
本校の創立者・土光登美は、太平洋戦争のさなか、「国の滅びるは悪によらずしてその愚による」という信念のもと、賢く自立した女性を育てるために女学校を設立しました。その精神を受け継いだのが、後に石川播磨重工業(現IHI)や東芝の社長、さらには経団連会長を歴任し、行政改革(臨調行革)を推進した息子の土光敏夫氏です。敏夫氏は、母の「個人は質素に、社会は豊かに」という教えを胸に、高度経済成長の中で国の財政健全化に尽力しました。自ら質素な生活を貫き、痛みを伴う改革にも先頭に立って挑んだ人物です。来年は、その土光敏夫氏の生誕130年を迎えます。本校でも、この節目に合わせて記念事業の準備を進めています。 こうした歩みを改めてたどる中で、私はふと思いました。登美も敏夫も、歴史に名を残すために行動したのではなく、困難な時代の中にあっても己の信念を貫き通した人でした。その精神は、変化の激しい現代を生きる私たちにこそ必要なものではないでしょうか。社会がどんなに変わっても、自分の信じる道を歩み続ける。そんな人を育てることこそ、本校が目指す教育の原点であり、これからの挑戦でもあります。